「かんぴょう」をご存知でしょうか?
お寿司の細巻きなどに使われている「かんぴょう巻き」などが思いつくかな!?
それでは、かんぴょうは何で出来ているかご存知でしょうか?
大根!?練り物!?いやいやいや…
答えは「ゆうがお」ウリ科の植物の実なのです!
ゆうがお??朝顔の仲間??(漢字で書くと「夕顔」です。)
あまりメジャーではない「ゆうがお」
そんな「ゆうがお」ですが、なんと!信州の伝統野菜に登録されているのです。
その「内鎌ゆうがお」で作られる「内鎌かんぴょう」は伝承地栽培認証票にも認定されているのです。
※伝承地栽培認証票は下文にて説明しています。
信州の伝統野菜「内鎌ゆうがお」そして伝承地栽培認証票に認定されている「内鎌かんぴょう」について紹介いたします!
池田町の内鎌ゆうがおについて
夕顔ってそもそも食べれるの??と思うかもしれません。
夕顔は食用とされるウリ科の植物で、キュウリやゴーヤなどの仲間なのです。
そう聞くと食べられるんだ!と思いませんか!?
長細いナガユウガオと真ん丸としたマルユウガオとざっくりと2種類に分けられています。
今回ご紹介する内鎌ゆうがおはナガユウガオの1種です。
長野県はナガユウガオを家庭でも育てていることが多く、北信エリアでは「ユウゴ」「ユウゴウ」という名称(方言)で呼ばれていて親しまれています。
内鎌ゆうがおの産地・池田町は長野県の中信エリアにあります。
ここでは、内鎌ゆうがおの歴史、産地である池田町についてと詳しくご紹介します。
そして、長野県の伝承地栽培認証票にも認定されている「内鎌かんぴょう」について詳しく書かせて頂きます。
内鎌ゆうがおの歴史について
内鎌ゆうがおの由来ですが、北安曇郡池田町の内鎌地区が産地だからです。
そのままですが、地域の誇りと歴史がつまった名称となっています。
この内鎌ゆうがおの歴史ですが、品種成立の期限については詳しい文献など残っておりません。
ただ、宝暦12年(1762年)江戸時代には栽培方法が確立していたという記録が残っており、内鎌ゆうがおは160年もの歴史がある伝統深い野菜なのです。
ですが、近年は生産者の高齢化などで、生産者が5名ほどまでに減ってしまった時もありました。
これではいけない!代々受け継いできたものを若い世代にも知ってほしい、食べてほしい、つなげたいと、池田町の地元の方々が「内鎌のかんぴょうを守る会」を立ち上げました。
現在では約30名ほどの人々が内鎌ゆうがお、そして、内鎌かんぴょうを守り受け継ぐ取り組みをしています。
そもそも夕顔は原産は北アフリカで、日本へは平安時代に中国から伝来と言われています。
夕顔の特徴は、大きな果実を実らせるところにあります。
同じくウリ科の植物で「ヒョウタン」がありますが、夕顔はヒョウタンの中で苦味が少ない品種を食用として分化選別した品種だと考えられています。
夕顔とヒョウタンは親戚関係というわけなのです。
内鎌かんぴょうについて
夕顔は、6月~8月頃の夕方に白い花を咲かせ朝にしぼむという特徴を持っている植物です。
夕顔の実は、夜の温度が下がるお盆以降は実が中々大きく育たなくなるため、6月下旬から8月中旬にかけて実が大きく育つときに合わせて、かんぴょう作りも最盛期を迎えます。
夕顔の実は1m位にもなりますが、内鎌かんぴょうに最適な大きさは、30㎝~40㎝の若い実です。
大きい実だと皮が硬くなってしまうので、種を取る以外は若採りの30cmぐらいの実を収穫して、かんぴょうとして用います。
かんぴょうは、夕顔の白い果肉を、皮をむくように薄く長く切って乾燥させたものです。
夕顔を早朝に収穫して、天日で干し、輪切りにして外皮をむいた後、たこひき包丁を使い、専用の台の上で手びきします。
この方法は宝暦から変わらずに行われています。
この伝統製法は、上手く挽くまで3年かかると言われております。
内鎌かんぴょうは、消毒や漂白を使わない、昔ながらの製法にこだわりぬいた逸品です。
そして、その守り継いだ伝統製法の内鎌かんぴょうは長野県の伝承地栽培認証票を会得したのです。
夕顔の産地は栃木県・新潟県・長野県が三大産地です。
その産地ではかんぴょう作りも盛んで、中でも栃木県がかんぴょうの生産量の8割を占めています!そして、夕顔の消費量が多いのは岩手県と言われています。
☆ここで豆知識☆
なんとかんぴょうで地球を巻くと約1.5周分の長さになるんです!!
産地の池田町について
池田町は、長野県北西部の北アルプス地域に位置し、北アルプス地域にあります。
年間降水量が少なく、四季を通して気温の差が大きいという特徴がある町です。
冬の寒さは厳しく最低気温が-10℃以下の時もありますが、雪が少ないこともまた特徴的です。
雄大な自然を生かし、町全体で花とハーブの栽培に力を注ぎ、現在では「花とハーブの里」をコンセプトに町づくりを行っています。6月中旬~7月上旬には、ラベンダーの摘み取り体験が出来たりと賑わいをみせています。
てるてる坊主発祥の地
てるてる坊主の作者浅原六朗は池田町生まれとされています。
その為、池田町にはてるてる坊主のモニュメントやてるてる坊主のモチーフ、お土産が多数あります。池田町を訪れた際は探してみてください。
人間そっくりなかかし村
池田町の堀之内地区の方々が、町おこしと豊作を願って始めた「かかしまつり」別名かかし村。
人間そっくりなかかしたちが、工夫を凝らして登場します。
このお祭りは、夏から秋にかけ米が豊作になるようにと、田んぼを守り続けたその「かかし」に感謝するお祭りです。
その凝ったかかしは遠目から見ると人間と間違えてしまうほど!
井戸端会議をしていたり、孫とお話しているおじいちゃんがいたり…と、とても手の込んだかかしたちを見ることが出来ます。
美味しい内鎌ゆうがおの食べ方
ここでは、夕顔のおいしい食べ方を紹介します。
かんぴょうに加工されるだけではなく、実をそのまま料理して食べることが出来ますが、夕顔がスーパーなどに出回ることが少ないため、夕顔の食べ方があまり知られていない現状が残念でしかたありません。
カリウム、カルシウム、マグネシウム、銅、葉酸などミネラルが豊富で、夏バテ予防にもなる夕顔。くせがなく、どんな料理にも合わせやすい夕顔です。
その白く硬い果肉からは想像できないほど、火を通すと半透明でトロトロな食感に変わる夕顔。
かんぴょうだけではない夕顔の美味しさを広めたいと思います^^
夕顔の選び方・保存方法・下処理
夕顔は大きくなりすぎると、皮が硬くなり、種が育ち綿の部分が多くなってしまいますので避けましょう。
実はずっしりと重みが感じられるものを選びましょう!
実を切った場合は冷蔵庫で必ず保管しましょう。
実は冷凍保存も可能です。
冷凍する場合は、皮をむいて、ワタと種を取り除いて果肉だけにして使う大きさに切って密閉容器に入れて冷凍しましょう。使う時には冷凍のまま料理してください。
下処理としては、皮をむいて、ゴーヤのように中のワタと種を取り除いて白く硬い果肉だけを料理に使います。
夕顔の美味しい料理
下処理を行った夕顔の果肉は、クセもないので和洋中とどんな料理にもピッタリです。
夕顔の味噌汁
味噌汁の具材として夕顔を入れます。
温かい味噌汁はもちろん、冷や汁(冷たい味噌汁)にもよく合います!
夕顔とひきにくのあんかけ
夕顔料理といえばあんかけと言っても大げさではないほど、夕顔料理としてはメジャーな料理です。
麻婆夕顔
麻婆豆腐ならぬ麻婆夕顔。お豆腐の代わりに夕顔を使います。
トロっとした食感が癖になる美味しさです。また麻婆のピリ辛に夕顔がぴったりなのです。
ごはんが進む一品です。
夕顔とよく間違えてしまう実の一つに冬瓜(トウガン)があります。
冬瓜は「冬」の文字があるため冬野菜と思う方も多いですが、実は夕顔と同じ夏に採れる実なのです。
由来は「冬まで貯蔵できる」ということから冬瓜と名付けられたそうです。
冬瓜の花は黄色ですが、夕顔の花は白色で、実は夕顔の方が柔らかいです。
冬瓜の方が日持ちがする為、スーパーなので見ることも多いかな!?
冬瓜と夕顔の違いを是非楽しんでほしいと思うカノナです。
似ている!?夕顔・朝顔・昼顔・夜顔の違い
朝顔に昼顔に夕顔に夜顔…
と、ここで問題です!!
この4つの中で、仲間はずれが一つあります!
それはなんでしょう?
みんな同じ種類?!仲間はずれなんてあるの?と私は思っていましたが、実は正解は・・・
「夕顔ユウガオ」が仲間はずれなのです。
先にも書きましたが夕顔は「ウリ科」です。
朝顔と昼顔と夜顔は「ヒルガオ科」なのです。
また、夕顔の花びらは一枚ずつ分かれていますが、朝顔と昼顔と夜顔は花びらがすべて繋がっています。
地域によっては夕顔を夜顔という呼び方で呼んでいるところもあるので混合しないように注意しましょう。
そして、よく夕顔の実と間違えられるのはひょうたん!
夕顔とひょうたんは同じウリ科の植物ですが、実が食べられるのが夕顔で、ひょうたんは観賞用です。
ひょうたんの実は食用ではないものを食べてしまうと、食中毒を引き起こす危険性がありますので注意してください。
苦い夕顔は毒!?注意しましょう!!
夕顔はウリ科の植物で、先に紹介したように様々な食べ方が楽しめる夏野菜です。
しかし、ごくまれに大変苦みの強いものがあります。
その夕顔を食べると食中毒になることがあります。
食べる際は、調理前に実や茎を切って軽く味見をし、苦味がある場合は食べないようにしましょう。
内鎌ゆうがおと内鎌かんぴょうのリサーチしました~まとめ~
カノナの北信エリアでは「ユウゴ」と言ってお味噌汁や煮物で味わっていました。
実は、かんぴょう原料という認識はなかったのです(;^_^A
あのトロトロで半透明な夕顔が加工するとあんなに丈夫でしっかりした「かんぴょう」になるとはビックリしました!
かんぴょうにするために夕顔の皮~身を剥く作業は簡単そうに見えて、実は奥が深く簡単にできない作業なんです。
均一な厚さに切れずに剥くことの難しさ。。。
三年かかると言われるのが良く分かりました。(カノナは三年やっても出来る気がしませんでしたが…)
実は、かんぴょうは漂白剤を使って白くしているものが存在しています。
体にはもちろん良くありません。たかがかんぴょうかもしれません。
ですが、次世代の子ども達には漂白剤の使用していない、本物の本当に味を味わい、受け継いでいってほしいと切に思うカノナでした。